最終更新日:2026年6月25日
マレーシアの長期休暇・お祭りシーズンのペット対策|花火・爆竹・雷の音、留守番・預け先、ストレス対策
マレーシアで暮らしていると、一年を通じてにぎやかなお祭りや長期休暇がめぐってきますよね。旧正月、ハリラヤ、ディーパバリ――どれも街が華やぐ楽しい季節です。けれども、その裏で静かに震えている存在がいます。花火や爆竹の音におびえる、ペットたちです。
人にとっては美しい花火も、犬や猫には「突然鳴り響く、理由のわからない爆音」。マレーシアでは規制が必ずしも守られておらず、お祭りの夜は連日のように大きな音が続きます。さらにこの国は、午後から夜にかけての雷雨もとても多い土地。実は、お祭りシーズンの花火と日常の雷の両方が、ペットのストレスや脱走につながっているのです。このガイドでは、怖がるサインの見分け方から、当日の乗り切り方、脱走・迷子を防ぐ備え、長期休暇の預け先まで、在住の飼い主さん目線で整理しました。
まずは、音の恐怖症について、行動診療の専門家が解説する動画をどうぞ。
1. マレーシアの「お祭り・長期休暇」がペットに大変な理由
マレーシアの花火や爆竹は、法律上はほぼ規制対象です。それでも、お祭りの時期になるとどこからともなく大きな音が鳴り響き、街じゅうがにぎやかになりますよね。とくに旧正月は大晦日から15日間ほど断続的に続き、夜遅くまで音が止まないこともあります。
下の表は、ペットが影響を受けやすい主な行事と、花火・爆竹の傾向をまとめたものです。時期は年によって前後しますが、傾向をつかんでおくと備えやすくなります。
| 行事 | 時期の目安 | 花火・爆竹 | ペットへの注意 |
|---|---|---|---|
| 旧正月(春節) | 1〜2月(約15日間) | 非常に多い | 迷子が最も増える時期。連夜続く |
| ハリラヤ・アイディルフィトリ | 年により移動 | 多い | 帰省(balik kampung)で留守も重なる |
| ディーパバリ | 10〜11月ごろ | 爆竹・花火あり | 光と音の両方に注意 |
| 年末年始 | 12〜1月 | 都市部で打ち上げ | 深夜カウントダウンの大きな音 |
| 雷雨(スコール) | 一年中・主に午後〜夜 | ― | 予測しにくく、年間を通して起こる |
出典:Free Malaysia Today ほか現地報道、編集部調べ。時期は年により前後します。
マレーシアの動物保護団体も、この問題に繰り返し声を上げています。ある団体には、花火に驚いて脱走した犬が10日後にまったく別の地域で見つかった例や、同じく花火がきっかけで行方不明になり、戻らなかった例が報告されています。鳥やうさぎのように、突然の大きな音だけで命を落としてしまう小さな動物もいます。「短い時間の楽しみが、動物には長く残る傷になる」――現地の保護団体のこの言葉は、私たち飼い主が心に留めておきたい一言です。うさぎやハムスターを飼っている方はうさぎ・ハムスターの飼い方ガイドもあわせてご覧ください。
2. 花火・爆竹・雷を怖がるサイン
音への恐怖は「わがまま」ではなく、本物の恐怖です。犬の聴覚は人の何倍も鋭く、私たちが感じる以上に大きく鋭い音として届いています。まずは、愛犬・愛猫が出すサインに気づいてあげることから始めましょう。
| 程度 | よく見られるサイン | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 軽度 | 吠える・震える・隠れる・落ち着きなく歩き回る | 安全な空間+音のマスキングで見守る |
| 中〜重度 | 呼吸が速い・よだれ・嘔吐や下痢・食欲不振 | 環境を整え、かかりつけの獣医師に相談 |
| パニック | 暴れる・噛む・自傷・外へ飛び出そうとする | 脱走を物理的に防ぎ、行動診療や獣医へ |
出典:国内動物病院・獣医行動診療の解説をもとに編集。反応の強さには個体差があります。
反応のしかたは、犬と猫で少し違います。犬はおおむね、外へ逃げようとする・その場で固まって隠れる・飼い主に強く頼ってくる、の3タイプ。お風呂場やソファの下に逃げ込む子も多いです。猫は逃げて隠れるか、こわさが飼い主や同居猫への八つ当たりに変わることもあります。どちらも、いつもと様子が違えば「怖がっているのかも」と気づいてあげてください。
3. 当日の乗り切り方
音が鳴り始めてからできることは限られています。だからこそ、当日の環境づくりが大切です。基本の対策をまとめました。
| 方法 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 安全な空間 | 静かな部屋やクレートに毛布をかけて防音 | 隠れ場所は複数。危ない隙間はふさぐ |
| 音のマスキング | ホワイトノイズ・テレビ・穏やかな音楽 | 花火が始まる前から流しておく |
| 着圧ウェア | サンダーシャツ等の体を包む服 | 事前に着せて慣らす。雷の日にも |
| フェロモン | Adaptil(犬)・Feliway(猫)の拡散器など | 数日前から使い始める |
| 日中の運動 | 昼間にしっかり体を動かして疲れさせる | 体力が余ると不安が強まりやすい |
| 獣医の薬・サプリ | 抗不安薬や落ち着きをサポートするサプリ | 必ず獣医師の処方・指示のもとで |
出典:BondVet(米)、国内動物病院・獣医行動診療の解説をもとに編集。
接し方にもコツがあります。飼い主がオロオロすると、その不安は子にも伝わります。できるだけいつもどおりの落ち着いた態度で過ごしてください。一方で、「絶対に構ってはいけない」と我慢する必要もありません。そばにいてほしいと求めてくるなら、静かに寄り添ってあげて大丈夫です。逆に、自分から隠れて出てこない子は、無理に引っぱり出さず、そっとしておいてあげましょう。
4. いちばん怖いのは「脱走・迷子」
音への恐怖でもっとも避けたいのが、パニックになった子が外へ飛び出してしまうこと。花火や雷は外から聞こえてくる音なのに、不思議と多くの犬が「家の外へ逃げよう」とします。一度走り出すと、いつもは呼び戻せる子でも、訳がわからないまま遠くまで行ってしまいます。マレーシアでも、旧正月のたびに迷子の犬が増えると報告されています。
脱走を防ぐために、次の点を確認しておきましょう。
- 玄関や窓へ行けないよう、ドアを二重にするなど動線をふさぐ
- 庭飼いの場合、柵に抜け出せる隙間や穴がないか事前に点検
- 散歩や外出時はリードを短く持ち、手放さない(花火大会には連れて行かない)
- 恐怖で暴れる子をチェーンや短いリードでつなぐのは、首を絞める危険があり厳禁
- 音が止んでもしばらくは興奮が続くので、油断せず脱走対策を続ける
5. 長期休暇の留守・預け先
長期休暇は、花火対策と同時に「留守をどうするか」も悩みどころですよね。とくに旧正月やハリラヤは、地元へ帰省する人や旅行・一時帰国する人が一気に増えるため、ペットホテルやシッターの予約が早い段階で埋まってしまいます。「いざ探したら、どこも満室だった」とならないよう、早めに動いておくのが安心です。
| 選択肢 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| ペットホテル | 旅行・一時帰国で数日以上 | 繁忙期は早く埋まる。ワクチン証明が必要なことも |
| ペットシッター(自宅) | 環境を変えたくない子 | 信頼できる人を事前に見つけておく |
| 友人・知人に依頼 | 短期・相手に慣れている場合 | 花火の少ない静かな場所だと理想的 |
| 一緒に連れて行く | 車移動・近距離の滞在 | 花火大会や人混みには連れて行かない |
出典:編集部。預け先により条件は異なります。
どの預け先を選ぶ場合も、ワクチンの記録や普段のフード、持病の薬、かかりつけの連絡先をまとめて渡しておくと安心です。暑い時期は移動中の車内の温度にも注意してください。暑さ対策はペット熱中症ガイドもあわせてどうぞ。
6. 事前にできる準備(音慣らし・相談)
「来年こそは穏やかに過ごせるように」と思ったら、シーズンの前から少しずつ準備しておくのがおすすめです。よく知られているのが、花火や雷の音を小さな音量から聞かせ、落ち着いていられたらおやつをあげて褒める「脱感作トレーニング」。少しずつ音量を上げ、音とよいことを結びつけていきます。
ただし、ここで注意があります。慣れさせようとして、いきなり大きな音を聞かせるのは絶対にやめてください。かえって恐怖を強め、悪化させてしまいます。音への恐怖症は回数を重ねるほど悪くなりやすく、自力で克服するのは難しいものです。震えが激しい、食事ができない、パニックになるといった様子があるなら、早めに動物病院へ相談しましょう。かかりつけで対応が難しい場合は、行動診療を行う病院という選択肢もあります。病院の探し方はマレーシアの動物病院ガイドを参考にしてください。
7. お祭りシーズン特有の「誤食・暑さ・装飾」の危険
音と脱走のほかにも、お祭りシーズンには見落としがちな危険がいくつかあります。にぎやかな食卓は、ペットにとっては誘惑だらけ。ご馳走にはねぎ類やチョコレート、ぶどうなど、犬猫に中毒を起こす食材がよく使われています。来客が「少しだけ」と分け与えてしまうこともあるので、家族や来客にも「あげないでね」と一声かけておくと安心です。危険な食材は犬・猫に危険な食べ物ガイドにまとめています。
このほか、花火・爆竹の燃えかすは口に入ると毒になることがあるので、庭やベランダは片づけてから散歩を。飾りつけの紐やビニール、小さなオーナメントの誤飲、来客の出入りで開いた玄関からの飛び出し、暑い屋外でのお留守番なども、この時期に増えるトラブルです。いつもより少しだけ、まわりに目を配ってあげてください。
8. 在住日本人ならではの注意点
日本では花火は夏の風物詩で、せいぜい数日のこと。けれどもマレーシアでは行事のたびに花火・爆竹が鳴り、雷も一年を通して多いので、「音への備え」は季節ものではなく日常の備えになります。この感覚の違いに、住み始めて気づく方は多いと思います。
また、在住の皆さんは一時帰国が長期休暇と重なりやすいですよね。連れて行くにせよ預けるにせよ、繁忙期は選択肢が限られるので、早めの準備がものを言います。いざというときのために、夜間も対応している動物病院や緊急連絡先を、シーズン前にスマホに保存しておきましょう。連絡先はマレーシアのペット緊急連絡先リストにまとめています。慌てない準備が、いちばんのお守りになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 怖がっているとき、抱っこしたり声をかけたりしてもいいですか?
基本は落ち着いた態度でいつもどおりに過ごすのがよいとされています。飼い主が大騒ぎすると、その不安が伝わってしまうからです。ただ、絶対に構ってはいけないわけではありません。そばにいてほしいと求めてくるなら、静かに寄り添ってあげて大丈夫。逆に自分から隠れる子は、無理に出さずそっとしておきましょう。
Q2. 慣れさせるために、花火の音を大きめに聞かせるのは効果がありますか?
逆効果なのでやめてください。いきなり大きな音を聞かせると、恐怖をかえって強めてしまいます。慣らすなら、ごく小さな音量から始めておやつと組み合わせ、落ち着いていられたら少しずつ音量を上げる「脱感作」を、時間をかけて行います。重度の子は自力では難しいので、獣医師や行動診療の専門家と進めるのが安心です。
Q3. うさぎやハムスター、鳥も花火を怖がりますか?
はい、小動物はむしろ大きな音にとても弱く、注意が必要です。現地の保護団体によると、鳥やうさぎは突然の大きな音だけで体調を崩したり、命を落とすこともあると報告されています。ケージを静かな部屋の奥に移し、布をかけて光と音をやわらげ、室温管理も忘れずに。詳しくは小動物の飼い方ガイドもご覧ください。
Q4. 落ち着かせる薬は使ってもいいですか?
重度の恐怖には、抗不安薬やサプリメントが助けになることがあります。ただし必ず獣医師の診察と処方のもとで使ってください。市販の人間用の薬を自己判断で与えるのは危険です。シーズンの前に相談しておくと、当日に合った形で備えられます。
Q5. 旧正月など、連日花火が続くときはどうすればいいですか?
連日続く時期は、当日の対策に加えて「環境を一定に保つ」ことが大切です。毎晩同じ静かな部屋を用意し、音のマスキングを習慣にします。どうしても落ち着けない場合は、花火の少ない地域の知人宅やペットホテルに一時的に預けるのも一つの方法。脱走対策とマイクロチップの確認だけは、期間を通して徹底してください。
お祭りシーズンの預け先さがしも、日本語で相談を
「旧正月に一時帰国するけれど、この子をどこに預けよう」「花火の少ない預け先はある?」── 長期休暇のたびに、在住者ならではの悩みは尽きませんよね。Paws Malaysia(パウズマレーシア)は、日本⇄マレーシア間のペット輸出入手続きの代行を本業に、Petaling Jaya を拠点に活動しています。提携先のペットホテル・トリミング・送迎の手配を日本語でサポートしているので、預け先の相談から一時帰国・本帰国の手続きまで、まとめて頼れる味方になります。ひとりで抱えず、気軽にご相談ください。
Paws Malaysia のサポート内容を見てみる →